「手毬花」レビューのようなもの。

美少女ゲームブランドTOPCATの最新作、「手毬花」のレビューのようなものでもしてみようかな、なんて。

かのうさんに唆されたからじゃないんだけどもさ。

# つか、Amazonの商品がはれるんだと思ったが、R18なのでアウトだった罠。そりゃまあそうか。

■雑感:

「CG総数300枚超!大ボリュームで送る田舎学園物ADV!」と裏にはあるのだが、プレイしてもそのボリュームに見合う大作感は無いが、小粒でもピリリと辛い、良作ではあると思う。

都会から離れた主人公小虎は、親元から離れ、古めかしいバスに揺られ、トンネルを越えた先にある全寮制の学園−群雲学園−に住むこととなった。
その群雲学園で繰り広げられる、切なく淡い恋の行方とは…という感じなのだけど。

箱庭のような学園、群雲学園内で繰り広げられるストーリーということで、自分で自社の作品をコンパクトに纏めている感が拭えない。
アトリの空と真鍮の月」や「果てしなく青い、この空の下で…。」でも基本隣町や都会の喧騒とは切り離された、田舎でのお話、なのだけど、あちらは高速道路が出来て将来的には・・・?と世界との繋がりが垣間見えるのだが、手毬花ではそんな気配も見せない。

早期に下宿の管理人兼購買部の店員兼バスの運転手のさくらさん(この人はいろんなものを兼任している)に、「オメーなにしてんだそっち行くなとっとと帰れ(意訳)」と丁寧に煙に巻かれて追い返されたりする。

その頃にはもう全体MAP上にキャラが現れてて、それをクリックするとシナリオが進むという、「同級生」や「ToHaert」の様な昔懐かしいMAP移動が待っている。
昔はこのMAP移動が「ゲームしてる感」を醸し出してた訳だけど、今時の若いプレーヤーにマッチングするんだろうか。いやまあ、最近の子が遊ぶようなゲームはしばらく買ってないのだけども。

■システム:

システム的には、全体MAP上でチップキャラアイコンをクリックすると共通シナリオが進み、選択肢や何やらで個別ルートに進むというありふれたものだが、シナリオが進む上で通常キャラの立ち絵が表示される画面に、デデン!と他のゲームで言うところのイベント画像がべったりと鎮座している。

ツイッター上で原画の緒方さんに質問したところ、その近さはキャラとの距離感を狙ったそうなので、キミキスとかあの辺の一緒に下校する感じを出したかったのだろう。
メイン画面に表示されるグラフィックの表情差分はあまり無いのだが、その下にウインドウが出、各キャラのセリフが表示されたりするわけだが、ここにチップキャラが表示され、このチップキャラがとにかく良く動く。
喜怒哀楽なんでもござれ、だ。開発期間の大半は、シナリオとこのチップキャラ製作に持っていかれたんじゃないのか?って言うぐらい手が込んでいる。

声優さん達の演技に加え、キャラの喜怒哀楽がチップキャラで細かに伝わってくるから、キャラの感情表現というか、キャラクターを描く、という点においては非常に効果を発揮している。

ただまあ、惜しむらくは、チップキャラのON、OFFが1クリックで出来ないことだろうか?
シリアスな場面でチップキャラがヒョコヒョコ動いてるのに違和感を感じる人も多いはずだ。

■エッチシーン:

Hシーンは鷹取兵馬の本領発揮というか、キスの描写など、ネチっこい描写が多い。ネチっこいが、ソフトSMぐらいまでで、本格的に変態的なHシーンは無い。
Hシーン自体も尺は長いが、数としては少なめだ。
各キャラ2回ぐらい(最初のHと、愛し合ってから再度求め合うH)を期待してたのだがそこは肩透かしを食らった感じになる。

ところで、それなりに巨乳キャラが居てパイズリ描写がないとかどういうことか!?年上でリード役のべるが先生でさえ!!
後汁の描写はなんか合わない。キレイに描きたいんだろうが、巧く望む効果を得れていない感じだ。

■総括:

ソフトフォーカスの靄に包まれた淡い世界の中で繰り広げられる、童話の様な幻想の世界をガッツリ描こうとして、それには成功したが、ジャンル選択ゆえにコンパクトな作品に纏まったように見える。

それを良し、とするか悪し、とするかは受け取り手の好みによるだろう。

フィールドMAPなど、古い手法を採用するとか、何処へ向かうかTOPCAT?と危ぶむ声もあるだろうが、僕は断言する。

名作「青空」を超えようと肩の力が入りすぎた「アトリの空と真鍮の月」や、コンセプトとビジュアルで成功したが、風呂敷を纏めきれず尻すぼみに終わった「ななプリ♪」より遥かに密度が濃く、面白い。そこは鷹取兵馬と緒方剛志タッグの円熟した技の表れだと思っている。

追記:パイズリあります。しかしべるが先生じゃない。